IT分野でよく耳にする『プロビジョニング』という用語について、この記事では以下の内容をわかりやすく解説します。
- プロビジョニングとは
- プロビジョニングの種類
プロビジョニングとは
プロビジョニング(Provisioning)は、ITシステムを利用可能な状態にするために、必要なリソースを準備するプロセスを指します。この「リソース」には以下のようなものが含まれます。
- サーバー:物理サーバーや仮想サーバーのセットアップ
- ネットワーク:IPアドレスの割り当てやファイアウォールの設定
- ソフトウェア:OSやアプリケーションのインストールと設定
- ユーザーアカウント:アカウントの作成やアクセス権の設定
例えば、新しいアプリケーションを利用するために、サーバーの準備、ネットワークの設定、ソフトウェアのインストールを行う一連の作業がプロビジョニングに該当します。
語源
プロビジョニング(Provisioning) は英語の 「Provision」(準備、供給、設備、提供) から派生した言葉です。
通信業界が起源
「プロビジョニング」という言葉はもともと通信業界で使われていました。顧客がスムーズに電話やインターネットを利用できるように、通信事業者が顧客の需要を予測して、事前に設備やネットワークを準備するプロセスを指していました。近年では、通信だけでなく、クラウドコンピューティングやIT分野全般でも「プロビジョニング」という言葉が使用されています。
プロビジョニングの種類
プロビジョニングには多くの種類があり、それぞれ対象とするリソースや目的が異なります。以下に主要な種類を解説します。
サーバープロビジョニング
物理サーバーや仮想サーバーを設定し、動作可能な状態にするプロセスです。具体的には以下のような作業が含まれます。
- オペレーティングシステム(OS)のインストール
- メモリやストレージの割り当て
- アプリケーションやミドルウェアの設定
たとえば、AWSやAzureなどのクラウドサービスを使って、仮想マシン(VM)を作成し、必要なOSやアプリケーションをインストールする作業がこれに該当します。
ネットワークプロビジョニング
ネットワーク機器の設定と管理をするプロセスです。具体例としては以下の作業が挙げられます。
- ルーターやスイッチの設定
- VPNやファイアウォールの構築
- IPアドレスの割り当て
企業のオンプレミス環境だけでなく、クラウド環境で仮想ネットワークを設定する場合も含まれます。
ソフトウェアプロビジョニング
必要なソフトウェアをインストールし、設定するプロセスを指します。一般的に以下のステップが含まれます。
- アプリケーションのダウンロードとインストール
- 必要な設定ファイルの編集
- 動作確認とテスト
DevOpsの分野では、ツールを使ってこのプロセスを自動化することが一般的です(例:Ansible、Puppet、Chef)。
ユーザープロビジョニング
ユーザーアカウントの作成や権限管理をするプロセスです。たとえば、新しい従業員が入社する際に以下の作業を行います。
- 社内システムのアカウント作成
- 必要なシステムへのアクセス権付与
- セキュリティ設定の適用
OktaやAzure Active DirectoryなどのID管理ツールを使うと、効率的かつセキュアに運用できます。
クラウドプロビジョニング
クラウド環境のインフラを準備するプロセスです。これには以下が含まれます。
- 仮想マシンやストレージのセットアップ
- クラウドサービスの設定(例:データベース)
- 監視とセキュリティ設定の適用
オンプレミス環境に比べ、クラウド環境ではプロビジョニングの自動化が進んでいます。クラウドではInfrastructure as Code(IaC)ツール(例:Terraform、CloudFormation)を使ったプロビジョニングが一般的です。
本記事のまとめ
この記事では『プロビジョニング』について、以下の内容を説明しました。
- プロビジョニングとは
- ITシステムを利用可能な状態にするために、必要なリソースを準備するプロセス。
- 英語の 「Provision」(準備、供給、設備、提供) から派生した言葉
- プロビジョニングの種類
- サーバープロビジョニング
- ネットワークプロビジョニング
- ソフトウェアプロビジョニング
- ユーザープロビジョニング
- クラウドプロビジョニング
お読み頂きありがとうございました。