この記事ではハッシュ関数の『SHA-2』について、
- SHA-2の「特徴」と「種類」
- SHA-1とSHA-2の違い
などを図を用いて分かりやすく説明するように心掛けています。ご参考になれば幸いです。
SHA-2の「特徴」と「種類」
SHA-2は入力データ(文字列やファイルなど)を受け取り、その入力データから計算された決まった長さのハッシュ値(一般的には16進数の文字列)を出力するハッシュ関数です。
ハッシュ関数は、同じ入力データに対しては常に同じハッシュ値を出力しますが、入力データがわずかに異なると、全く異なるハッシュ値が出力される特性を持っています。この性質により、データの整合性確認やパスワードの保存など、様々なセキュリティ上の用途に使用されます。
SHA-2には以下の6種類があります。
- SHA-224
- ハッシュ値の長さ: 224ビット
- SHA-256
- ハッシュ値の長さ: 256ビット
- SHA-384
- ハッシュ値の長さ: 384ビット
- SHA-512
- ハッシュ値の長さ: 512ビット
- SHA-512/224
- ハッシュ値の長さ: 224ビット
- SHA-512のアルゴリズムをベースにしており、ハッシュの長さが224ビットになるように切り詰められている。
- SHA-512/256
- ハッシュ値の長さ: 256ビット
- SHA-512のアルゴリズムをベースにしており、ハッシュの長さが256ビットになるように切り詰められている。
例えば、SHA-256は入力データの長さに関わらず、256ビット(16進数では64桁)の文字列を出力するハッシュ関数です。
一例として「こんにちは」という入力データをSHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512のハッシュ関数を用いて、ハッシュ値へ変換した例を下図に示します。ハッシュ関数の種類が異なると、ハッシュ値の長さも値も異なります。
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補足
- SHAは「SHA(Secure Hash Algorithm: セキュア・ハッシュ・アルゴリズム)」の略です。SHAには、SHA-0、SHA-1、SHA-2、SHA-3の4つのバージョンがあります。
- SHA-2はアメリカ国家安全保障局(National Security Agency: NSA)が開発し、2001年に米国国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)によって連邦情報処理の一つとして標準化されています。
SHA-1とSHA-2の違い
SHA-2は、前規格であるSHA-1から多くの改良が加えられています。
計算のアルゴリズム構造自体は同じですが、内部関数や計算手法は異なります。また、ハッシュ値の出力の長さに関しても違いがあり、SHA-1は160ビットの固定長を出力するのに対し、SHA-2は224ビットから512ビットの範囲で出力することができます。
なお、2017年にSHA-1に脆弱性(衝突攻撃)が発見たことから非推奨になりました。そのため、現在では多くのアプリケーションやセキュリティ製品がSHA-2を使用しており、SHA-2ファミリーがより安全な選択として広く推奨されています。
本記事のまとめ
この記事ではハッシュ関数の『SHA-2』について、以下の内容を説明しました。
- SHA-2の「特徴」と「種類」
- SHA-1とSHA-2の違い
お読み頂きありがとうございました。