この記事では『レプリケーション』について、以下の内容を図を用いてわかりやすく解説します。
- レプリケーションとは
- データベースにおけるレプリケーション
- レプリケーションのメリットとデメリット
- レプリケーションとバッグアップの違い
レプリケーションとは
レプリケーションは、「複製品(レプリカ)を作成すること」を意味する言葉です。特にデータベースやITシステムの分野でよく耳にする用語で主にデータの可用性や信頼性を高める目的で利用されます。
複製品(何かをコピーしたもの)をレプリカと言います。そのレプリカを作るための作業やプロセスがレプリケーションです。
データベースにおけるレプリケーション
データベースの分野で「レプリケーション」という用語が登場する場合、オリジナルのデータベースと同じ内容を持つ複製品(レプリカ)を作成し、「リアルタイム」または「ほぼリアルタイム」でデータを同期することを指します。
この仕組みにより、オリジナルのデータベースに障害が発生した場合、複製したデータベースに即座に切り替えることで、運用を中断することなく継続可能になります。
レプリケーションのメリットとデメリット
レプリケーションのメリットとデメリットについて説明します。
メリット
- システムの可用性向上
- 稼働系(オリジナルのデータベース)が停止しても、待機系(複製したデータベース)が即座に引き継ぐことでダウンタイムを最小限に抑えることができる。
デメリット
- 誤操作の影響を回避できない
- レプリケーションはリアルタイムで同期するため、誤ってデータを削除した場合、その削除が待機系にも即時反映されてしまいます。
- 感染時の復旧が困難
- マルウェア感染などが発生した場合、感染前の状態に戻すことが難しいため、バックアップと併用する必要があります。
レプリケーションとバッグアップの違い
レプリケーションとバックアップはどちらもデータをコピーする作業やプロセスですが、目的や使い方に違いがあります。
レプリケーション
- 目的
- データをリアルタイムまたはほぼリアルタイムで別の場所にコピーして、可用性を高める。
- 特徴
- リアルタイム性: 変更がすぐにコピーされる。
- 利用シナリオ: オリジナルのデータベースがダウンした場合、もう一方の複製品(レプリカ)をすぐに使えるようにする。
- 例:
- クラウドサービスで、東京のデータセンターにあるデータを大阪のデータセンターにリアルタイムで複製する。
- ECサイトのデータベースを複数のサーバーで同時に更新する。
- イメージ
- 「同じ内容のメモ帳を2冊用意し、片方に書き込んだらもう片方にもすぐ写す」イメージです。
バックアップ
- 目的
- データを保存し、データ消失や破損に備える。
- 特徴
- スナップショット性: 特定の時点のデータを保存。
利用シナリオ
: データが削除されたり壊れたりした場合、元に戻すために利用する。- 例:
- 毎晩データベースの内容を丸ごと保存しておき、必要なときに復元する。
- 重要なファイルを外付けハードディスクやクラウドに保存する。
- イメージ
- 「メモ帳の内容を毎晩コピーして別の場所に保管する」イメージです。
違いを一言でまとめると、レプリケーションは「リアルタイムでデータをコピーして、すぐ使えるようにすること」、バックアップは「データを保存して、何かあったときに復元できるようにすること」です。
本記事のまとめ
この記事では『レプリケーション』について、以下の内容を説明しました。
- レプリケーションとは
- データやシステムをリアルタイムまたはほぼリアルタイムでコピーして、可用性を高める仕組み。
- メリット
- システムの可用性向上: 障害時に即座に切り替えが可能。
- デメリット
- 誤操作の影響: 誤った操作がリアルタイムで複製に反映される。
- 感染時の復旧困難: マルウェアなどに感染すると復旧が難しい。
- レプリケーションとバックアップの違い
- レプリケーション: リアルタイム性が特徴。システムの稼働継続が目的。
- バックアップ: スナップショット性が特徴。データの復元が目的。
- イメージ例
- レプリケーション: 「書き込み内容を即座に写すメモ帳」
- バックアップ: 「内容を定期的にコピーして保管するメモ帳」
お読み頂きありがとうございました。