【OSSライセンス】頒布・再頒布・使用・利用の意味や違いを解説!

ソフトウェア開発では、オープンソースソフトウェア(OSS)を利用することが一般的になっています。

OSSを利用する際には、OSSライセンスを遵守する必要がありますが、このOSSライセンスで頻繁に出てくる用語について、あまり詳しくない方もいるのではないでしょうか。例えば、「頒布、再頒布、コピーレフトの意味」や「利用と使用の違い」はご存じでしょうか?

この記事では、OSSライセンスを理解する上で必要な用語について、詳しく説明しています。ご参考になれば幸いです。

頒布と再頒布

「頒布」と「再頒布」の違いについて説明します。

頒布とは

頒布は、ソフトウェアを第三者に提供する行為です。例えば、ソフトウェアを物理的なメディア(CD-ROMなど)で提供する場合や、インターネット経由で提供する場合は頒布になります。重要なのは、ソフトウェアが製作者または初期の保有者から他者へ移転されるという点です。

  • 頒布に該当するケース
    • ソフトウェアを他の会社や個人に納品する。
    • ソフトウェアを他者のPCやデバイス上で動作するように公開する(例えば、フロントエンドのJavaScriptアプリケーションなど)。
      • プログラムやバイナリが、他者のPC上で動作するため配布に該当します。
  • 頒布に該当しないケース
    • ソフトウェアを個人で利用する目的で作成し、誰にも公開しない。
    • ソフトウェアが開発者が所属する組織内部でのみ使用する(例えば、社内システムなど)。
    • サーバー上で動作するソフトウェアで、実行ファイルをクライアントに配布しない。
      • 例外的に、AGPLライセンスのOSSを組み込んでいる場合、それがサーバー上で実行され外部からアクセス可能であるならば、頒布と判断されるので注意してください。

再頒布とは

再頒布は、既に配布されたソフトウェアをさらに第三者に提供する行為です。例えば、オリジナルのソフトウェアをそのまま他人に提供する場合や、派生ソフトウェア(既存のソフトウェアを引用・改変・拡張して作成された新しいソフトウェア)を提供する場合は再頒布になります。なお、再頒布する際には、元のソフトウェアのライセンス条件を遵守しなければならないので注意してください。

補足

再頒布は英語で「redistribution」と書きます。

派生ソフトウェアとは

派生ソフトウェアは、既存のソフトウェアを基に引用・改変・拡張して作成された新しいソフトウェアです。派生ソフトウェアは著作権法における「二次的著作物」と同様の概念です。

開発したソフトウェアが既存のOSSを基にしていたり、その一部を利用している場合、そのソフトウェアは「派生ソフトウェア」になります。

派生ソフトウェアは、元のOSSライセンスの規約を引き継ぐため、OSSライセンスの内容を正しく理解することが重要です。たとえば、GNU General Public License(GPL)のようなコピーレフト型ライセンスのOSSを基に派生ソフトウェアを作成した場合、派生ソフトウェアも同じGPLライセンスで公開する必要があります。

ただし、MITライセンスやBSDライセンスのような非コピーレフト型ライセンスのOSSを基に派生ソフトウェアを作成した場合、派生ソフトウェアは元のライセンスが求める条件を満たす限り、より自由に配布や利用が可能になります(派生ソフトウェアも同じライセンスで公開する必要がないため)。

補足

派生ソフトウェアは英語で「derived software」と書きます。

使用と利用

「使用(use)」と「利用(exploit)」の違いについて説明します。

使用

使用は、ソフトウェアを実行したり、ソースコードを読んだり、コンパイルしたりする行為です。OSSの場合、ソフトウェアの使用は自由であり、OSSを使用しても、OSSライセンスの制約は受けません。

使用に関連する活動

  • ソフトウェアのインストールと実行
  • ソースコードの閲覧と学習
  • ソフトウェアのビルドやコンパイル

利用

利用は、ソフトウェアを複製したり、改変したり、再頒布したりする行為です。OSSを利用する際には、特定のライセンス条項に従う必要があります。

利用に関連する活動

  • ソフトウェアの改変や派生ソフトウェアの作成
  • 改変したソフトウェアの公開または販売
  • オリジナルまたは派生ソフトウェアの頒布

このように、「使用」が日常的なソフトウェアの操作に関連しているのに対して、「利用」はソフトウェアの配布や販売など、より広い範囲の活動を含みます。

コピーレフト

コピーレフト

コピーレフトは「OSSの利用者はOSSを自由に複写・改変・再頒布することを許可する一方で、OSSを引用または改変して作成したソフトウェア(派⽣ソフトウェア)を公開する際には、元のOSSと同じライセンスで公開しなければならない」という考え方です。

例えば、GPL(GNU General Public License)と呼ばれるライセンスは、コピーレフト型ライセンスの1つです。GPLライセンスのOSSを引用または改変して作成したソフトウェアもGPLライセンスで公開する必要があります。

コピーレフトは著作権(copyright)の対局の概念なので、copy-right(右)からcopy-left(左)という言葉遊び的な名称となっています。シンボルマークも○に「C」を入れた著作権マーク © を左右反転させたものになっています。

本記事のまとめ

この記事では『OSSライセンスを理解する上で必要な用語』について、以下の内容を説明しました。

  • 頒布と再頒布の違い
  • 使用と利用の違い
  • コピーレフトとは

お読み頂きありがとうございました。