Linuxを触り始めると、必ず目にするのが「Ubuntu」という名前です。しかし、調べてみると次のような疑問にぶつかる人も多いのではないでしょうか。
- UbuntuってOSなの？それともLinux？
- LinuxとUbuntuは何が違うの？
- 「Linuxディストリビューション」って結局なに？
実は、Ubuntuを正しく理解するためには、OS・Linux・Linuxディストリビューションの関係を順番に理解する必要があります。
この記事では、まずOSとは何かから簡単に確認し、次にLinuxとLinuxディストリビューションの意味を押さえたうえで、最後にUbuntuがどんな立ち位置の存在なのかをわかりやすく解説します。
OS（オペレーティングシステム）とは？
OS（Operating System）は、パソコンやスマホ全体を動かすための「基本ソフト」です。
パソコンやスマホは、OSが入ってはじめて「ただの機械」から実際に使える道具になります。私たちが普段、何気なく行っている次のような操作は、すべてOSが裏側で制御・管理しています。
- ファイルを開く
- アプリを起動する
- インターネットに接続する
- 文字を入力する
代表的なOS
代表的なOSには、次のようなものがあります。
- Windows
- macOS
なお、ここで少し注意が必要です。LinuxはWindowsやmacOSと少し違った立ち位置の存在です（LinuxはOSそのものではない）。その理由は、後ほど解説します。
Linuxとは？
Linuxは、OSの中核部分（カーネル）の名前です。
カーネル（Kernel）は、OSの中で最も重要な中核部分です。ハードウェア（CPU・メモリ・ディスクなど）を直接制御し、OSの土台として動いています。カーネルがなければ、OSは動き始めることすらできません。
OSを1つの会社に例えると、カーネルは「社長」のような存在です。会社に社長がいなければ成り立たないのと同じで、OSにとってカーネルは欠かせません。
ただし、社長だけでは会社が回らないのと同じように、カーネルだけではOSは完成しません。シェルやデーモン、各種アプリケーションなどのソフトウェアがそろってはじめて、私たちが普段使える「OS」として成り立ちます。
「狭義のLinux」と「広義のLinux」について
WindowsやmacOSは「OS全体を指す名前」ですが、Linuxは「OSの中核部分（カーネル）だけを指す名前」という点が大きな違いです。技術的に正確な意味では「Linux ＝ カーネル」です。カーネルそのものを指すので「狭義のLinux」と呼ばれることもあります。
一方、「広義のLinux」と呼ばれるものがあります。「広義のLinux」は「Linuxカーネルを使ったOS全体」を指します。日常会話や一般的な説明で言う「Linuxを使っているよ！」はほとんどの場合、「広義のLinux」を指しています。
Linuxディストリビューションとは？
Linuxは、OSの中核部分（カーネル）の名前でした。しかし、カーネルだけでは、私たちが普段使うOSとしては不十分です。他に必要なソフトウェアを集めてきて上手く組み合わせないと、動きません。
そこで登場するのがLinuxディストリビューションです。Linuxディストリビューションは、
- Linuxカーネル
- シェルやデーモン
- 各種アプリケーション
- 設定ツール
などをひとまとめにして、すぐ使える形にしたOSのことです。「広義のLinux = Linuxディストリビューション」となります。
主なLinuxディストリビューション
Linuxディストリビューションは非常に多くの種類があります。
ここでは、代表的なLinuxディストリビューションを紹介します。それぞれに特徴がありますが、初心者に最もおすすめされるのがUbuntuです。
Debian系
Debian系は、Debianを元に作られたディストリビューションです。代表的なものには、次のようなものがあります。
- Debian
- Ubuntu
- Linux Mint など
安定性が高く、情報量も多いため、初心者から上級者まで幅広く使われている系統です。
注意点
Red Hat系は、Red Hat Enterprise Linux（RHEL）を元にしたディストリビューションです。
- Red Hat Enterprise Linux
- CentOS / Rocky Linux
- Fedora など
主に、サーバー用途、業務システム、企業環境などでよく使われています。
「〇〇系」とは何か？
Linuxの世界では、あるディストリビューションを元にして、それを改良・カスタマイズして作られたものを「〇〇系」と呼ぶことがよくあります。例えば、
- Debianを元に作られた → Debian系
- Red Hatを元に作られた → Red Hat系
という分類になります。
Ubuntuとは？
Ubuntuは、Debian系のLinuxディストリビューションで、「誰でも使いやすいLinux」を目指して作られています。
Ubuntuには、次のような特徴があります。
- 無料で使える
- インストールが簡単
- 日本語対応が充実している
- 情報が多く、困ったときに調べやすい
- デスクトップ用途・サーバー用途の両方に対応
特に、日本語の解説記事やトラブル事例が多いため、初心者でもつまずきにくいのが大きなメリットです。
本記事のまとめ
この記事では、OS・Linux・Linuxディストリビューション、Ubuntuについて説明しました。
まとめると、Ubuntuは「Linuxカーネルを使ったOS（Linuxディストリビューション）」の一つです。
LinuxはOSの中核であるカーネルの名前であり、それ単体では普段使いのOSにはなりません。そこに必要なソフトウェアを組み合わせ、すぐ使える形にしたものがLinuxディストリビューションで、その代表例がUbuntuです。
「Linuxって何？」「Ubuntuって何者？」と迷ったら、Linux＝カーネル、Ubuntu＝Linuxディストリビューション（OS）と覚えておくと、理解しやすくなります。
お読みいただきありがとうございました。