ソフトウェア開発の現場でよく聞く「CI/CD」。でも実際は、
- CI/CDは何の略?
- CIとCDの違いは?
- CDが2種類あるってどういうこと?
- CI/CDのメリットは?
と混乱してしまう人も多いはずです。
この記事では、CI/CDの意味・仕組み・メリットなどをわかりやすく解説します。
CI/CDとは?

CI/CD(シーアイ・シーディー)とは、ソフトウェア開発を自動化し、素早く安全にリリースできるようにする仕組みのことです。
CI/CDのCIとCDは以下の略称です。
- CI:Continuous Integration(継続的インテグレーション)
- CD:Continuous Delivery(継続的デリバリー)またはContinuous Deployment(継続的デプロイメント)
CI/CDを導入することで、ソースコードのビルドやテスト・ステージング環境へのデプロイ、場合によっては本番環境へのデプロイといった作業を自動で行えるようになり、バグの早期発見、品質向上、リリースの高速化が実現できます。
CI/CDが自動化する主な工程は次の2つです。
- CI(継続的インテグレーション)
- ソースコードのビルド・テストを自動化する
- CD(継続的デリバリー)・CD(継続的デプロイメント)
- デプロイ(リリース)までの流れを自動化する
- CD(継続的デリバリー)はステージング環境までのデプロイを自動化
- CD(継続的デプロイメント)は本番環境までのデプロイを自動化
まとめると、「ビルド→ テスト→ 統合(マージ) → デプロイ(リリース)」までの一連の流れを、自動で高速・安全に回すための仕組みがCI/CDです。
ではこれから、CI(継続的インテグレーション)・CD(継続的デリバリー)・CD(継続的デプロイメント)について詳しく解説します。
CI(継続的インテグレーション)とは?
CI(Continuous Integration/継続的インテグレーション)とは、開発者が書いたソースコードに変更が加えられるたびに自動でビルドやテストを実行し、問題がなければ共通のリポジトリにこまめに統合(マージ / インテグレーション)する仕組みのことです。
コードを変更してGitにpushすると、CIツールが自動で次のような処理を行います。
- 自動ビルド(コードを実行可能な状態にする)
- 自動テスト(動作が壊れていないかチェック)
- 問題があれば開発者に通知
さらに、CIでは必要に応じて次のようなチェックも自動化できます。
- セキュリティチェック(脆弱性や危険な依存関係の検知)
- lintチェック(コードスタイル・記述ルールのチェック)
- 静的解析(型・構文・依存関係のチェック)
自動ビルドや自動テストで問題がなければ、共通リポジトリへ安心して統合(マージ)できる状態であることを確認できます。実際のマージ作業は、通常、レビュー後に開発者が手動で行います。
CD(継続的デリバリー)とは?
CD(Continuous Delivery/継続的デリバリー)とは、CI(継続的インテグレーション)でテストに通過したソフトウェアを「いつでも本番環境にデプロイできる状態」に自動で準備しておく仕組みのことです。
CD(継続的デリバリー)は以下の工程を自動化します。
- 自動ビルド(※CIの中で実施)
- 自動テスト(※CIの中で実施)
- 共通リポジトリへ統合
- ステージング環境への自動デプロイ
- リリース可能な状態の維持
なお、CD(継続的デリバリー)では、本番環境へのデプロイ自体は自動化されません。本番環境へのデプロイそのものは人が実行します。「リリースボタンを押すだけ」の状態にしておくイメージです。自動的に本番環境へデプロイする手法はCD(継続的デプロイメント)と呼ばれます。
CD(継続的デプロイメント)とは?
CD(Continuous Deployment/継続的デプロイメント)とは、CI(継続的インテグレーション)でテストに通過したソフトウェアを本番環境に自動でデプロイする仕組みのことです。CD(継続的デリバリー)よりも、もう一歩進んだ完全自動化しているのがCD(継続的デプロイメント)です。
CD(継続的デプロイメント)は以下の工程を自動化します。
- 自動ビルド(※CIの中で実施)
- 自動テスト(※CIの中で実施)
- 共通リポジトリへ統合
- ステージング環境への自動デプロイ
- 本番環境への自動デプロイ
「継続的デリバリー」と「継続的デプロイメント」の違い
CD(継続的デリバリー)とCD(継続的デプロイメント)の違いをまとめると以下のようになります。
| 継続的デリバリー | 継続的デプロイメント | |
| 本番環境へのデプロイ | 手動(人が判断) | 自動(判断なし) |
| リリースの頻度 | 手動の分だけ少し遅い | 非常に高頻度 |
| 使われる場面 | 品質チェックが厳しいシステム | 変化を高速に届けるシステム |
| メリット | 人による最終確認ができる | すべて自動化でスピード最速 |
| リスク | 人の作業で遅れる場合がある | 不具合が本番に流れるリスクがある |
CI/CDパイプラインとは
CI/CDを実践するにはCI/CDパイプラインが必要です。
CI/CDパイプラインとは、コードのビルド → テスト →(レビュー&マージ) → デプロイといった一連の流れを自動で進める仕組みのことです。
CI/CDパイプラインは「CI(継続的インテグレーション)」と「CD(継続的デリバリー/デプロイメント)」をつなげて一つの自動化された流れにしたものとイメージすればOKです。
CI/CDのメリット
CI/CDを導入すると、開発スピードだけでなく品質や安全性も大きく向上します。主に、次のようなメリットがあります。
バグの早期発見・早期修正ができる
CI(継続的インテグレーション)では、コードを変更してGitにpushするたびに自動でテストが実行されます。そのため、
- バグを「早い段階」で見つけられる
- 影響範囲が小さいうちに修正できる
といった効果があり、大規模な不具合に発展しにくくなります。
リリースの頻度が上がる&手作業によるミスが減る
CD(継続的デリバリー/デプロイメント)により、ステージング環境or本番環境へのデプロイ手順が自動化され、「ボタン1つで本番環境へリリース(継続的デリバリーの場合)」または「本番環境へ自動リリース(継続的デプロイメントの場合)」といった運用ができるようになります。
そのため、リリースの頻度が上がるのに加えて、自動でリリースするため、手作業によるミスが減ります。
開発者の作業負担が減り、重要な作業に集中できる
CI/CDを導入すると、ビルド・テスト・デプロイなどの繰り返し作業が自動化されるため、
- 人手でのビルド作業
- 面倒なテスト実行
- 手順書どおりのデプロイ作業
といった「単純作業」が減り、開発者は本来の「開発業務」に集中できます。
品質が安定する
CI/CDでは、誰が作ってもどのチームでも、
- 同じ手順でテスト
- 同じ手順でデプロイ
- 同じ環境で動作確認
が行われます。手作業よりはるかにブレが少なく、品質を安定させやすくなります。
チーム開発との相性が良い
複数人が同時に開発する環境では、コードの衝突や不整合が起きやすいです。しかしCI/CDを導入すると、
- 開発者が小まめにマージ
- 自動テストで整合性をチェック
- 問題があればすぐに通知される
が行われるため、チーム全体で高い開発速度を維持できます。
本記事のまとめ
この記事では『CI/CD』について説明しました。
- CI(継続的インテグレーション)
- コード変更を自動でビルド・テストし、問題があれば早期に発見
- CD(継続的デリバリー)
- ステージング環境へのデプロイを自動化
- CD(継続的デプロイメント)
- 本番環境へのデプロイを自動化
- CI/CDの主なメリット
- 手作業によるミスが減り、開発者はより重要な作業に集中できる
- 小さな変更を素早く、安全に届けられるようになる
特にチーム開発では、CI/CDの有無によって開発体験や品質が大きく変わります。まだ導入していない場合は、小さな範囲からでも取り入れてみることで、開発の効率化や品質向上を実感できるはずです。
お読みいただきありがとうございました。