Webアプリを開発しているとよく耳にする言葉に、「サニタイズ(sanitize)」と「エスケープ(escape)」があります。
どちらもセキュリティ対策に欠かせない重要な処理ですが、「何が違うのか」をご存じでしょうか?
「サニタイズ」と「エスケープ」は似ているようで役割が異なります。簡単に言うと、以下の違いがあります。
- サニタイズ:データを安全にするための総称
- 入力値の「エスケープ・削除・置換・正規化・検証」などを含みます。
- エスケープ:サニタイズの中の一種
- 特別な意味を持つ文字を無害化(安全な文字列に変換)する処理です。
この記事では、「サニタイズ」と「エスケープ」の違いをわかりやすく説明します。
サニタイズとは?
サニタイズ(sanitize)とは、外部から受け取ったデータ(ユーザー入力など)を安全な形に整える処理のことです。悪意のある文字列や不正な構文を無害化(無効化)する目的で行われます。
たとえば、フォーム入力やURLパラメータに意図しないコードが含まれていると、それをそのまま出力した場合にXSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃につながる恐れがあります。
サニタイズでは、こうしたリスクを防ぐために、入力データを安全な形式に整えます。サニタイズには次のような処理が含まれます。
| 処理の種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| エスケープ (escape) | 特別な意味を持つ文字を安全な文字列に変換する | < → <、> → > |
| 削除 (remove) | 危険な文字列やタグを削除する | <script>タグを削除 |
| 置換 (replace) | 特定の文字を別の文字に置き換える | 改行コードや制御文字を別の形式に変換 |
| 正規化 (normalize) | 文字コードや形式を統一する | 全角・半角の混在を統一するなど |
| 検証 (validation) | 入力値が想定された形式や範囲内かを確認する | 数値のみ・メール形式かどうかをチェック |
サニタイズ処理を行うことをサニタイジングと呼びます。
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サニタイズとは?【IT用語】
エスケープとは?
エスケープ(escape)は、サニタイズの中でも特に「特別な意味を持つ文字を安全な文字列に変換する処理」を指します。主にHTML・JavaScript・SQLなどの出力時に使われます。
たとえば、HTMLでは<や>はタグとして解釈されるため、ユーザーが入力した値をそのまま出力すると危険です。例えば、次のようなデータが入力フォームに入力されたとしましょう。
こんにちは!<script>alert('あなたのデータは危険です!');</script>このデータをサニタイズせずに画面に表示すると、<script>タグが実行されてしまいます。そこで、エスケープ処理を行い次のように変換します。
こんにちは!<script>alert('あなたのデータは危険です!');</script>こうすることで、ブラウザはタグを単なる文字列として表示し、スクリプトが実行されなくなります。このように、エスケープは「危険な文字を安全に変換する具体的な手法」なのです。
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「サニタイズ」と「エスケープ」の違い
「サニタイズ」と「エスケープ」の違いをわかりやすくまとめると、次のようになります。
| 比較項目 | サニタイズ | エスケープ |
| 意味 | 不正なデータを安全な形式に整える、全体的な処理 | 特殊文字を無害化する処理 |
| 範囲 | エスケープ・削除・置換・正規化・検証などを含む広い概念 | サニタイズの一部(部分的な手法) |
| 目的 | 入力データ全体を安全に保つ | 特殊文字が意図しない動作を起こさないようにする |
| 例 | <script>タグを削除、数値入力の形式をチェック | < → <、' → ' |
本記事のまとめ
この記事では、「サニタイズ」と「エスケープ」の違いについて解説しました。
サニタイズは「データを安全に整えるための総称」であり、サニタイズの中のひとつの手段としてエスケープがあります。
お読みいただきありがとうございました。