スクラッチ開発とは?「意味」や「メリット・デメリット」をわかりやすく解説!

Webサービスやシステム開発の開発現場で「スクラッチ開発」という言葉を耳にしたことはありませんか?

スクラッチ開発は開発手法の一つですが、「なんとなく聞いたことはあるけど、正確な意味はよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?

この記事では『スクラッチ開発』について、以下の内容をわかりやすく解説します。

  • スクラッチ開発とは?
  • スクラッチ開発のメリットとデメリット
  • 「スクラッチ開発」と「フルスクラッチ開発」の違い
  • 「スクラッチ開発」と「パッケージ開発」の違い

スクラッチ開発とは?

スクラッチ開発とは、既存のソフトウェアやサービスなどを使わず、ゼロから完全に新しくシステムやアプリケーションを構築する開発手法のことです。

例えば、売上管理システムを作るときに、Salesforceやkintoneなどの既存ソフトウェアを使うのではなく、要件に合わせて設計・開発・実装まですべてを自社または委託先で行うのがスクラッチ開発です。

スクラッチ開発では、画面のデザインから、処理ロジック、データベースの構造まで、すべて自由に設計できるため、完全オリジナルのシステムを作ることができます。

scratch(スクラッチ)」は、英語で「ひっかき傷」や「何もない状態」という意味があります。ここから生まれた表現が「from scratch(フロム・スクラッチ)」で、これは「ゼロから/白紙の状態から」という意味になります。

たとえば、料理で「from scratch」といえば、「冷凍食品やレトルトを使わず、材料から手作りする」という意味になります。この考え方がソフトウェア開発にも使われていて、「スクラッチ開発」は「何もない状態からシステムやアプリケーションを一から作ること」を意味するんです。

スクラッチ開発のメリットとデメリット

スクラッチ開発のメリットデメリットを以下に示します。

メリット

  • 自由度が非常に高い
    • スクラッチ開発の最大の特徴は、制限なしで設計・開発ができることです。業種や業務の流れに応じて細かな機能要件を設定でき、ユーザーの使いやすさを追求したUI/UXも実現できます。
  • 他社との差別化ができる
    • 既製品を利用する場合、基本的には他社と似たような機能になりますが、スクラッチ開発なら独自性の高い機能や仕組みを持つシステムを構築できます。これはビジネス上の強力な競争優位になります。
  • 既存製品の制約を受けない
    • パッケージソフトには「できること」と「できないこと」がありますが、スクラッチ開発なら業務に本当に必要な機能だけを選んで実装できるため、無駄のない、最適化されたシステムを構築できます。

デメリット

  • 開発期間が長くなる
    • 設計からテストまでをすべて行うため、リリースまでに時間がかかります。
  • 初期コスト・開発コストが高い
    • 開発者の工数が増えるため、開発費用が高額になりやすいです。
  • 保守・運用もすべて自分たちで対応
    • リリース後も、システムのバグ修正やセキュリティ対応、新機能追加などを自社または開発会社が責任を持って対応する必要があります。

「スクラッチ開発」と「フルスクラッチ開発」の違い

「スクラッチ開発」と「フルスクラッチ開発」の違い

フルスクラッチ開発は、スクラッチ開発の中でも特に、既存のテンプレートやフレームワークなども一切使わずに、完全にゼロから自作する開発手法を指します。例えば、Webアプリケーションを作る際に、Next.jsやLaravelといったフレームワークすら使わず、HTML/CSS/JavaScriptやバックエンドのコード、フレームワーク部分まで自分たちで書き起こすようなケースが該当します。Next.jsやLaravelなどのフレームワークを使った場合には、スクラッチ開発になります。

スクラッチ開発」と「フルスクラッチ開発」の違いを示します。

スクラッチ開発フルスクラッチ開発
既存の技術・資産の利用一部利用する場合もある(テンプレートやフレームワークなど)一切使わずゼロから構築
柔軟性高い非常に高い
開発コスト・工数高い非常に高い

一般的に「スクラッチ開発」と言った場合、「フルスクラッチ開発」までを意味しないことが多いです。多くの開発現場では、テンプレートやフレームワークを活用しながらのスクラッチ開発が主流です。

「スクラッチ開発」と「パッケージ開発」の違い

システム開発には大きく分けて「スクラッチ開発」と「パッケージ開発(既製品の活用)」という2つの手法があります。以下は、それぞれの違いをまとめた表です。

スクラッチ開発パッケージ開発
開発スタイルゼロからすべて自社で設計・開発する既存のソフトウェアに対して機能追加や設定変更を行う
柔軟性非常に高い(要件に完全に対応可能)限定的(提供機能の範囲内でカスタマイズ)
費用高くなりやすい(設計・開発・テストすべてにコストがかかる)比較的安価(既存製品の利用により開発コストが抑えられる)
開発期間長期化しやすい(要件定義から構築までフルプロセスが必要)短期間で導入できるケースが多い
保守対応自社または委託先が対応製品ベンダーによるサポートが用意されていることが多い

スクラッチ開発は、自社の業務やビジネスモデルに完全にフィットしたシステムを構築できる反面、時間とコスト、保守対応までの負担も大きくなります。一方、パッケージ開発は、すぐに導入できてコストも抑えやすいですが、細かなカスタマイズには限界があるため、業務にフィットしない可能性もあります。

スクラッチ開発パッケージ開発は、目的や予算、導入スピード、今後の運用体制などによって適切な選択をすることが重要です。

本記事のまとめ

この記事では『スクラッチ開発』について、以下の内容を説明しました。

  • スクラッチ開発とは?
  • スクラッチ開発のメリットとデメリット
  • 「スクラッチ開発」と「フルスクラッチ開発」の違い
  • 「スクラッチ開発」と「パッケージ開発」の違い

スクラッチ開発は、自由度が高く、自社の業務やニーズにぴったり合ったシステムを一から構築できる点が大きな魅力です。他社との差別化を図りたい、独自の業務フローに完全に適合した仕組みを求めている場合には、有力な選択肢となります。一方で、開発期間やコスト、保守対応などの負担が大きくなるため、目的やリソース、スケジュールを慎重に見極めたうえで判断することが大切です。

お読み頂きありがとうございました。

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