「AIエージェント」という言葉を聞いたことはありますか?
ChatGPTなどの生成AIが広く知られる中で、「AIエージェント」という目標達成に特化したAIにも注目が集まっています。
でも、
- AIエージェントって何ができるの?
- 生成AI(ChatGPTなど)と何が違うの?
- どういう仕組みなの?
といった疑問を持つ方も多いかもしれません。
この記事では『AIエージェント』について、以下の内容をわかりやすく解説しています。ご参考になれば幸いです。
- AIエージェントとは?
- 「AIエージェント」と「生成AI」との違い
- AIエージェントの仕組み
AIエージェントとは?
まずは、AWS公式ドキュメントの定義を見てみましょう。
人工知能 (AI) エージェントは、環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラムです。
AI エージェントとは?
つまり、AIエージェントとは「目標を達成するために、必要なタスクを自己決定して、最適なアクションを自分で判断して動くAI」です。たとえば、「夏に北海道旅行したい!」とAIエージェントに伝えると、AIは以下のような行動を自動で行ってくれます。
- 北海道の観光情報をネットで調べる
- 天気や混雑状況をチェック
- 航空券・ホテルを比較して提案
- スケジュールを立てて、旅行プランを提示
- 食の好みを知っていれば、「海鮮が好きならここ!」とレストランも提案
さらに、あなたの好み情報がなければ、AIの方から「海鮮とジンギスカン、どっちが好き?」と質問してくれることもあります。
「AIエージェント」と「生成AI」との違い
AIエージェントは「目標達成」のために複数のタスクを自律的に遂行するAIです。一方、生成AI(Generative AI)は、ユーザーから与えられた指示内容に沿って文章、画像、動画、音声などを「生成すること」に特化したAIです。
項目 | AIエージェント | 生成AI |
---|---|---|
主な目的 | ユーザーの目標を達成するために、考えて動くこと | 文章や画像などのコンテンツを作ること |
動き方 | 自分でやるべきことを考え、情報を集め、行動する「自律型」 | 指示を受けてその通りに返す「反応型」 (例:質問に答える) |
代表例 | ・AutoGPT(自律的なプロジェクト遂行) ・カスタムGPTs(目的特化型AI) ・AI秘書(予定調整・ToDo管理など) | ・ChatGPT(会話・文章作成) ・DALL·E(画像生成) ・Midjourney(アート生成) |
できることの例 | 「プロジェクト進めて」と頼むと、タスク管理・進捗報告・連絡などを自律的に実行 | 「プレゼン資料を作って」と頼むと資料を出力 |
ユーザーの目的を達成するために、自分で考えて積極的に動く「AIエージェント」は、ひとつのアプリやサービスだけにとらわれず、いくつものタスクを組み合わせて実行します。そのために、AIだけでなく、ウェブ検索や外部API、データベースなどのリソースも使って、その時に最適な方法を自分で判断して実行します。
ChatGPTのような対話型AIは、生成AIの一種です。つまり、生成AI全体の中に「会話に特化したAI(対話型AI)」が含まれています。
AIエージェントの仕組み
AIエージェントは目標を達成するために、大きく3つのステップで動きます。
目標を理解して、やるべきことを考える(=タスク分解)
まず、AIエージェントはユーザーの指示や要望を受け取ります。
例えば、「今度の旅行、プラン立てておいて!」とAIエージェントに伝えると、AIエージェントは、以下のように考えて、大きな目標を小さなタスクに分解していきます。
- この目標を達成するには、どんな作業が必要か?
- それぞれの作業は、どんな手順で行えばよいか?
旅行プランの例(タスク分解)
- 行き先の候補を探す
- 観光スポットや気候を調べる
- 交通手段(飛行機・新幹線など)を検討
- 宿泊先を探す
- スケジュール(日程表)を作成
- 費用を見積もる
- ユーザーの好みに合うか確認する
必要な情報を集める(=情報収集)
次に、分解したタスクをこなすために、AIエージェントは自ら動いて情報を集め始めます。情報収集の方法には以下のようなものがあります。
- WebサイトやSNSからデータを探す
- APIや社内システムからデータを取得
- 他のAIやツールと連携して情報を引き出す
- 必要に応じて、ユーザーに質問して確認する
旅行プランの例(情報収集))
- この時期におすすめの観光地はどこ?
- 新幹線や飛行機の空き状況は?
- 宿泊先の評価や料金は?
- ユーザーは温泉派?アウトドア派?
こうしてタスクを進めるために必要な材料を集めていきます。必要な情報がそろえば、次のステップへ進みます。
タスクを実行して、最終的に目標を達成する(=タスク実行)
情報が集まったら、いよいよAIエージェントは実際の作業を実行していきます。実行する内容は、先ほど分解したタスクの内容に沿っています。
旅行プランの例(タスク実行)
- 条件に合うホテルを予約
- 最適な移動ルートを組み合わせて提案
- 日程表を作成
- おすすめの観光スポットをリストアップ
- 旅費の見積もりを提示
このとき、もし途中でエラーが出たり情報が足りなかった場合は、
- 新しいタスクを自分で追加したり
- 別の方法を考え直したり
- ユーザーに追加の質問をしたり
と、状況に応じて柔軟に対応しながら、目標達成まで自律的に動いていくのが特徴です。
本記事のまとめ
この記事では『AIエージェント』について、以下の内容を説明しました。
- AIエージェントとは?
- 「AIエージェント」と「生成AI」との違い
- AIエージェントの仕組み
AIエージェントは、ユーザーの「○○したい!」という目標に対して、自分でタスクを分解し、必要な情報を集め、状況に応じて柔軟に行動する“考えて動くAI”です。これまでの生成AIが「質問に答える」「文章を作る」といった“受け身”のAIだったのに対し、AIエージェントは“能動的に動く”ことが最大の違いです。
お読み頂きありがとうございました。