Webサイトを見るとき、私たちは当たり前のようにgoogle.com
やexample.co.jp
といった文字列を使っていますよね。これがドメイン名です。
でも実は、「ドメイン名ってIPアドレスの代わり?」「www
はドメイン名の一部?」「co.jp
って何?」といった疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。
この記事では『ドメイン名』について、以下の内容を図や例を用いてわかりやすく解説します。
- ドメイン名とは?
- ドメイン名の構造
- トップレベルドメインとは?
- 国別トップレベルドメイン(ccTLD)とは?
- 汎用トップレベルドメイン(gTLD)とは?
- ドメイン名・ホスト名・FQDNの違い
ドメイン名とは?
ドメイン名はインターネット上の特定のコンピュータやネットワークを「わかりやすい文字列」で識別するための名前です。
コンピュータ同士は192.0.2.1
のようなIPアドレスを使って通信します。でも、数字だけでは覚えにくくて不便ですよね。そこで登場するのが「ドメイン名」です。ドメイン名は「覚えにくいIPアドレス」を「覚えやすい文字列(英字や数字など)」に置き換えた別名です。
例えば、あるWebサーバーが192.0.2.1
というIPアドレスを持っていたとします。このサーバーにwww.example.co.jp
というドメイン名が割り当てられていれば、ユーザーはこの覚えやすい文字列を使ってWebサイトにアクセスできます。
しかも、www.example.co.jp
というドメイン名を見ると、このWebサイトは「日本(jp
)」の「企業(co
)」に属する「example
」という組織が運営するネットワーク上にあり、「www
」というホスト名のコンピュータ(多くの場合Webサーバー)から配信されていることも分かります。つまり、ドメイン名を見れば、どこの国の、どんな組織が運営しているWebサイトかをある程度読み取ることができるのです。
例えば、GoogleのWebサイトにアクセスすると、アドレスバーにhttps://www.google.com
と表示されます。このwww.google.com
がドメイン名であり、どのWebサーバーにアクセスするかを指定している部分です。

さらに重要なのは、ドメイン名は世界にひとつしかない唯一の名前であるという点です。同じドメイン名は二重に登録できないように厳しく管理されており、たとえばwww.google.com
はGoogle社だけが使えるもので、他の企業や個人が取得することはできません。そのため、ドメイン名を入力すれば、確実にそのWebサイトを一意に特定することができるのです。
ドメイン名とIPアドレスの対応
ドメイン名とIPアドレスの対応関係は、自動的に変換されています。この変換を行っているのがDNS(Domain Name System)という仕組みです。DNSがあることで、私たちは192.0.2.1
といった数字ではなく、www.example.co.jp
のような分かりやすい名前だけでWebサイトにアクセスできるようになっています。
ドメイン名の構造

ドメイン名はピリオド「.」で区切られた階層構造になっており、右から左に向かって「上位 → 下位」という順番で構成されています。
一例として、www.example.co.jp
のドメイン名を階層に分けて見てみましょう。
レベル名 | 部分 | 内容 |
---|---|---|
第1レベルドメイン (トップレベルドメイン / TLD) | jp | 日本を表す国別ドメイン(ccTLD) (この場合は「日本」=japan) |
第2レベルドメイン (セカンドレベルドメイン / 2LD, SLD) | co | 組織の種類 (この場合は「企業」=company) |
第3レベルドメイン (サードレベルドメイン / 3LD) | example | 登録者の名前(企業名や団体名など) |
第4レベルドメイン (フォースレベルドメイン / 4LD) | www | ホスト名(Webサーバーなど) |
このように、それぞれの階層に意味があるため、ドメイン名を見るだけで「どこの国で」「どんな組織が運営しているのか」「どのサーバーか」がある程度わかります。国としては他に英国(uk
)や中国(cn
)などがあり、組織には大学(ac
)や政府機関(go
)などがあります。
ccTLDやこの後に出てくるgTLDについては後ほど解説します。
また、www.example.com
のドメイン名を階層に分けて見てみましょう。
レベル | 部分 | 内容 |
---|---|---|
第1レベル (トップレベルドメイン / TLD) | com | 商用を表す汎用ドメイン(gTLD) |
第2レベルドメイン (セカンドレベルドメイン / 2LD, SLD) | example | 登録者の名前(企業名や団体名など) |
第3レベルドメイン (サードレベルドメイン / 3LD) | www | ホスト名(Webサーバーなど) |
この構成ではcom
のようにgTLD(汎用トップレベルドメイン)が使われています。
ここで、ドメイン名の構造について詳しく説明した図を以下に示します。

ccTLDだと第3レベルドメインに、gTLDだと第2レベルドメインに登録者の名前(企業名や団体名など)が入るケースが多いです。
トップレベルドメインとは?
ドメイン名の一番右にある部分を「トップレベルドメイン(TLD)」と呼びます。
www.example.co.jp
→jp
がTLDwww.google.com
→com
がTLD
このTLDは大きく次の2種類に分けられます。
- ccTLD(Country Code Top-Level Domain: 国別トップレベルドメイン)
- gTLD(Generic Top-Level Domain: 汎用トップレベルドメイン)
ccTLDは国や地域ごとに割り当てられたTLDです。一方、gTLDは国や地域に関係なく世界中で利用できるTLDです。
国別トップレベルドメイン(ccTLD)とは?
ccTLD(Country Code Top-Level Domain)は、国や地域ごとに割り当てられたTLDです。ISO 3166-1に準拠した2文字の国コードで構成されています。以下に主なccTLDを示します。
ccTLD | 国や地域 |
---|---|
.jp | 日本 |
.uk | イギリス |
.us | アメリカ |
.cn | 中国 |
.kr | 韓国 |
.de | ドイツ |
.au | オーストラリア |
.fr | フランス |
汎用トップレベルドメイン(gTLD)とは?
gTLD(Generic Top-Level Domain)は、国や地域に関係なく世界中で利用できるTLDです。文字数は2文字以上で、商用や組織用、個人用など、用途に応じた名称になっています。以下に主なgTLDを示します。
gTLD | 意味・用途 |
---|---|
.com | 商用(commercial) |
.net | ネットワーク(network) |
.org | 組織(organization) |
.info | 情報(information) |
.biz | ビジネス(business) |
.xyz | 新しい世代向け・汎用 |
.name | 個人用 |
.pro | 専門職用(professional) |
ドメイン名・ホスト名・FQDNの違い

ドメイン名には、狭義の意味と広義の意味があります。
狭義の意味では、ドメイン名はネットワークを識別する文字列で、ホスト名はネットワーク内のコンピュータを識別する文字列です。www.example.co.jp
のような「ホスト名」と「ドメイン名」を合わせた形式はFQDN(完全修飾ドメイン名)と呼ばれています。
広義の意味では、ドメイン名やホスト名を「インターネット上でコンピュータを識別するFQDN(完全修飾ドメイン名)」相当の意味で使っています。
このように、ドメイン名は狭義の意味と広義の意味で異なるので注意しましょう。
用語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
ドメイン名 | 狭義の意味 ネットワークを識別する文字列 広義の意味 インターネット上でコンピュータを識別する文字列(FQDN相当) | 狭義の意味example.com 広義の意味 www.example.com |
ホスト名 | 狭義の意味 ネットワーク内のコンピュータを識別する文字列 広義の意味 インターネット上でコンピュータを識別する文字列(FQDN相当) | 狭義の意味www 広義の意味 www.example.com |
FQDN(完全修飾ドメイン名) | ホスト名+ドメイン名+ルートドメイン(.)で構成される完全な名前 | www.example.com. (最後のルートドメイン(.)は省略されることも多い) |
この記事では広義の意味でドメイン名を使っています。
本記事のまとめ
この記事では『ドメイン名』について、以下の内容を説明しました。
- ドメイン名とは?
- ドメイン名の構造
- トップレベルドメインとは?
- 国別トップレベルドメイン(ccTLD)とは?
- 汎用トップレベルドメイン(gTLD)とは?
- ドメイン名・ホスト名・FQDNの違い
お読み頂きありがとうございました。