AWS(Amazon Web Services)には、「エッジロケーション」という重要な仕組みがあります。
この記事では『エッジロケーション』について、以下の内容を図を用いてわかりやすく解説します。
- エッジロケーションとは?
- CloudFrontとエッジロケーションの関係
- 「エッジロケーション」と「リージョン」の違い
エッジロケーションとは?

エッジロケーション(Edge Location)は、AWSが提供するCDNサービス(主にAmazon CloudFront)で使用される、エンドユーザーにより近い場所からコンテンツを高速に配信するための拠点です。
エッジロケーションは、世界中の主要都市に数百か所以上設置されており、ユーザーからのリクエストを受け取って、キャッシュ済みの静的コンテンツ(HTML・CSS・JavaScript・画像・動画など)を素早く返します。
日本では東京や大阪にエッジロケーションが設置されており、CloudFrontを利用すると、ユーザーの位置に応じて最も近いエッジロケーションに自動的にルーティングされます。これにより、通信の遅延が抑えられ、高速なレスポンスが可能になります。
CloudFrontとエッジロケーションの関係
AWSには「Amazon CloudFront」というCDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスがあります。CloudFrontを用いると、世界中にあるエッジロケーションを使って、コンテンツをユーザーの近くから高速に届けることができます。
CloudFrontの基本的な仕組みは以下のようになっています。
- オリジンサーバー(例:S3やEC2)にあるコンテンツ(画像・動画・HTMLなど)をCloudFrontが取得する。
- そのデータをエッジロケーションにキャッシュする。
- 次回以降、同じデータのリクエストはエッジロケーションから高速配信する。
このようにすることで、毎回オリジンサーバーまで行く必要がなくなり、スピードが大幅にアップします。
たとえば、南米にあるAmazon S3に動画が保存されていて、日本にいるユーザーがその動画を視聴しようとした場合を考えてみましょう。
CloudFrontを使っていない場合、ユーザーは毎回南米のサーバーにアクセスして動画データを取得することになります。これでは、通信距離が長いため読み込みに時間がかかり、再生が遅くなったり止まったりする原因になります。また、アクセスが増えるとオリジンサーバーへの負荷も増し、全体的なパフォーマンスが悪化する恐れがあります。
一方、CloudFrontを使っている場合、1回目のアクセス時に南米のS3から動画を取得し、それをアジア(たとえば東京)のエッジロケーションにキャッシュします。その後は、同じ動画を視聴しようとする他のユーザー(または同じユーザー)がアクセスした場合、わざわざ南米まで取りに行かず、東京のエッジロケーションから素早く配信されるようになります。
「エッジロケーション」と「リージョン」の違い
エッジロケーションと混同しやすいのが、リージョン(Region)です。以下に違いを示します。
比較項目 | リージョン | エッジロケーション |
---|---|---|
主な役割 | 本拠地:アプリ実行やデータ保管 | 配信拠点:キャッシュされたデータを配信 |
配置場所 | 世界で約30か所程度(2025年現在) | 世界で数百か所(主要都市に設置) |
使われ方 | EC2やS3でアプリ実行、データ保存など | CloudFrontなどで画像・動画などを高速配信 |
ユーザーとの距離 | やや遠い(国や地域単位) | 非常に近い(都市単位) |
エッジロケーションは、リージョンに比べて数も多く、よりユーザーに近い距離にあります。そのため、エッジロケーションを使えば、遅延を少なくした高速配信が可能になります。
本記事のまとめ
この記事では『エッジロケーション』について、以下の内容を説明しました。
- エッジロケーションは、AWSのコンテンツをユーザーの近くから高速配信するための拠点。
- 世界中の主要都市に数百か所以上設置されている。
- 主にCloudFront(CDN)で利用され、画像・動画などをキャッシュして配信。
- オリジンサーバーから取得したデータを一時保存(キャッシュ)し、次回以降はエッジロケーションから配信。
- 通信距離が短くなることで、表示速度が向上し、遅延やコストも削減できる。
お読み頂きありがとうございました。