クラウドサービス、特にAWS(Amazon Web Services)を使っていると、「アベイラビリティゾーン(AZ)」という言葉をよく見かけます。
でも、
- そもそもアベイラビリティゾーンって何?
- リージョンとはどう違うの?
- なぜ複数のAZがあるの?
と、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、AWSの『アベイラビリティゾーン』について、以下の内容を図を用いてわかりやすく解説します。
- アベイラビリティゾーンとは?
- 例:東京リージョンのアベイラビリティゾーン
- 「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」の違い
- 「シングルAZ」と「マルチAZ」とは?
アベイラビリティゾーンとは?

アベイラビリティゾーン(AZ: Availability Zone)は、リージョン内にある複数の独立したデータセンターで構成されたゾーンです。1つのリージョンは複数のAZで構成されています。そして、1つのAZは多数のサーバーを持つ複数のデータセンターで構成されています。
各AZは災害などの影響を受けにくくするために地理的に離れた場所(通常は数十km〜100km以内)に配置され、通信遅延は数ミリ秒以下に抑えられています。
それぞれのAZは、電源・空調・ネットワークが他のAZと完全に分かれているので、どこか1つのAZで障害が起きても、他のAZに影響が出にくいように設計されています。また、AZ同士は複数の冗長化(バックアップされた)ネットワークで接続されており、安定して高速な通信ができます。
セキュリティ上の理由から、具体的なデータセンターの場所は非公開です。
例:東京リージョンのアベイラビリティゾーン
たとえば、東京リージョン(ap-northeast-1)には、以下のような複数のアベイラビリティゾーン(AZ)があります。
ap-northeast-1a
ap-northeast-1b
ap-northeast-1c
ap-northeast-1d
これらはすべて「東京リージョン」にありますが、それぞれのAZは物理的に離れた場所に設置されています。
すべてのAWSアカウントで、必ずしも上記の4つすべてのAZが利用できるとは限りません。たとえば、あるアカウントではap-northeast-1b
が割り当てられておらず、実際には3つのAZ(1a
, 1c
, 1d
)しか使えない場合もあります。
「リージョン」と「アベイラビリティゾーン」の違い
リージョンは大まかな地理的なエリアを指し、その中に複数のAZが含まれます。以下にリージョンとアベイラビリティゾーンの違いを表でまとめました。
用語 | 意味 | 例 |
---|---|---|
リージョン | 地理的なエリア(国や都市) | 東京、オレゴン、フランクフルトなど |
アベイラビリティゾーン | 同じリージョン内の複数の独立データセンター | ap-northeast-1a , 1c , 1d |
「シングルAZ」と「マルチAZ」とは?
AWS上でシステムを構築する際、「シングルAZ構成」にするか「マルチAZ構成」にするかは、可用性やコスト、運用の難易度に大きな影響を与えます。可用性を高めたい場合はマルチAZが推奨されますが、構成がシンプルでコストが安いのはシングルAZです。
構成 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
シングルAZ構成 | 1つのAZのみで運用 | 構成がシンプルでコストが安い | そのAZに障害が起きるとサービスが止まる可能性あり |
マルチAZ構成 | 複数のAZにシステムを分散配置 | 高い可用性と耐障害性 | コストや設計の手間が増える |
本記事のまとめ
この記事では、AWSの『アベイラビリティゾーン』について、以下の内容を説明しました。
- アベイラビリティゾーン(AZ)とは?
- 同じリージョン内にある、複数の独立したデータセンター群
- 電源・空調・ネットワークなどが他のAZと分離されている
- 災害時の影響を最小限にするため、物理的に離れた場所に設置
- 通信遅延は数ミリ秒以下、距離は数十km~100km以内
- セキュリティの観点から具体的な場所は非公開
お読み頂きありがとうございました。